令和5年度 事業報告
1)社会福祉法人しらゆり会として
今年度、新型コロナウイルス感染症を中心に様々な感染症を施設内に持ち込ないことを目標に多くの対策を講じてきた。しかしながら今年の2月末から3月中旬にかけて特養内で新型コロナウイルス感染症のクラスター感染が発生して多くの利用者、職員が罹患した。前回のクラスター感染を教訓に適切な対応、行動を徹底することにより、前回に比べ他の事業所への感染の伝播を防ぎつつ、短期間で収束させることが出来た。次年度もまた今回の経験を糧に更に充実した感染症対策を講じていきたい。大幅な物価高騰の中、適切な人件費、各経費の設定を行い必要な職員数の確保や安定した法人経営に努めた。次年度は5年に1度の介護報酬算定年となっているが現状、この物価高騰に対応した算定内容とはなっておらず、非常に厳しい法人運営になることが予想されている。そのような環境の中、利用者、家族そして職員にとって良い社会福祉法人として在り続ける為に様々な方策を講じていく。
事 務 所
新型コロナウィルスが5類になり、利用者・家族の心情と利用者の安全に最大限の配慮を行いつつ面会方法を見直し、外出を伴う行事や地域交流を再開し、利用者の外出や外泊に対する支援などを行う事ができた。感染予防に対する意識を高く持ちながら感染予防に取り組んできたが、令和6年2月に施設内でクラスターが発生してしまった。クラスター発生時にはコロナ禍で得た知識や経験を活かすことで、前回のクラスターよりも短期間で収束させる事ができた。今後も引き続き利用者の安全を最優先に考えながら、地域の感染状況に合わせた対応を行っていきたい。DXや業務改善への取り組みにより、業務効率が向上したり他部署との情報共有や連携がとりやすくなったりした一面もあるものの、部署内においては情報共有や協力体制に対する認識に相違があり、改善すべき課題も残っている。連携・協力に必要な情報が何なのかをきちんと考え共有し合いながら部署内で連携し、情報共有や協力体制をより良いものにできるよう、今後も取り組んでいきたい。
2)施設サービス
【 特養入苑者の状況 】
定員 (85名) |
退所者 (25名) |
看取り (退所者のうち) |
長期入院 | その他 |
広域型 (56名) |
16名 | 13名 (81%) |
2名 | 1名 |
地域密着型 (29名) |
9名 | 7名 (78%) |
1名 | 1名 |
年 齢 状 況( 資料1参照)
最低年齢の方 | 最高齢の方 | |
広域型 | 67歳 | 105歳 |
地域密着型 | 74歳 | 105歳 |
要介護度状況( 資料3参照)
男性 | 女性 | 平均 | |
広域型 | 3.2 | 4.0 | 3.9 |
地域密着型 | 4.0 | 4.2 | 4.2 |
年 間 行 事
・誕生会(毎月) | ・クラブ活動(毎週) | ・ショッピング(年10回) |
・法話(年3回) | ・家族通信(毎月) | ・家族会(年4回) |
・しらゆり喫茶(年12回) | ・折紙教室(年12回) | ・遠足(年1回) |
・七夕ビアパーティ(年1回) | ・秋祭り(年1回) | ・お花見会(年1回) |
・運動会 (年1回) | ・移動売店(月1回) |
※新型コロナウィルス感染予防対策として中止していた行事があったが、令和5年度から再開した行事と内容等は下記の通り。
・誕生会→ボランティアの受入を再開した。
・ショッピング→少人数で時間を短縮し、外出先での飲食は禁止して行う。
・遠足→西条町内をドライブし、鏡山公園を散策した。
・秋祭り→家族や地域団体に参加して頂き開催した。(地域住民の参加は無し)(食事は無し)
・板城小学校交流会→しらゆり会館にて児童の学習発表等を鑑賞した。
※折紙教室について
毎月開催していた折紙教室は、ボランティアの先生に協力してもらいながら30年以上続いたが、先生からの申し出により令和5年10月をもって終了した。
※施設内で新型コロナウィルスのクラスターが発生したため、令和6年2月と3月のショッピングとひな祭り喫茶を中止した。
広域型特養
優しい声かけを意識して接していくことについては、多くの職員ができていた。利用者の方には安心して過ごされたことと思う。が、中には適切でない言葉遣いをする職員もいた。また、少しでも時間がある時には、歌を歌ったり、言葉遊びをするなど関わる時間を持つこともできた。新型コロナが第 5類になったことで以前と同じような行事を行うことができ、利用者の方の笑顔が多く見られた。日々の様子観察を行い、体調不良など早期の対応はできていた。一方、転倒・転落による怪我があった。その中には未然に防げるものもあったので、今後の対応について、検討していく。職員間の挨拶などコミュニケーションは良く取れていたと思うが、報・連・相ができていないこともあったので、他部署も含めてさらにコミュニケーションを取りながら、報・連・相がしっかりできるよう努める。感染症については、 2月下旬に新型コロナが発症した。全室を居室対応するなど職員全員で感染予防を行ったがクラスターとなった。今後も感染予防については勉強会を行い、蔓延予防に努めたい。
地域密着型特養
御利用者が安心して生活を送って頂けるように、日々寄り添う気持ちを忘れずに信頼関係を築いていけるよう心掛け、コミュニケーションを取りながら業務にあたる事が出来た。また、新しい取り組みでレクリエーション活動が増えた事や、新型コロナウイルス感染症が第5類に移行し外部との関りが持てるようになった事で、御利用者の笑顔が増え生活の中で活気が出たと感じる。職員間については、情報の共有が少し欠けている所があった。原因としては職員同士で相手を思いやる気持ちが足りない部分があった為、スムーズな連携が持てなかった。お互いがまずは傾聴をしながら、情報の共有を行い同じ方向性を持って行けるよう努めて行きたい。新型コロナウイルス感染症については、日々の感染症予防対策に努めていたが3名の御利用者が感染された。しかし、感染を拡大する事なく、最短で終息する事が出来た。今後も御利用者が安心して生活を送って頂けるように、しっかりと寄り添って信頼関係の構築に努めて行きたい。
医 務 室
日頃より、感染予防と体調管理をしコロナワクチン接種を実施していたが、2月末より3月中旬にかけてクラスターが発生した。前回の経験を活かして、有熱者に限らず入苑者全員の抗原検査を実施し、早期発見に努め陽性者に対しては内服薬の処方を受け日々の健康観察に努めた。各部署との連携を密に感染管理を徹底し3月22日に終息した。看取りに関しては、希望された30名 (ショートステイ10名含む )の方々の看取り介護を行った。ご家族・ご本人に穏やかに過ごして頂けるように環境を整え連絡を密にして安心して穏やかに終末を援助することが出来た。
栄養士・調理
感染症予防の為手洗い・うがい・手指消毒に努めたが、施設内で新型コロナウイルス感染症のクラスター発生により、職員も感染してしまった。しかし、以前の経験を活かし早く終息することができた。今後も衛生管理を徹底し事態を予防したい。食事作りは、適温給食を始め食欲向上に繋がるように励んだが、自分ルールを作り統制を乱す事や、思いやりに欠けた行動があり、時間配分の調整が必要な時もあった。これからは、基本的なルールを守っていきたい。そのためには、部署内や他部署とのコミュニケーションを図り「報告・連絡・相談」をしやすい職場作りを心掛ける。節水・節電については意識が少し芽生えてきたので、継続していきたい。今後も皆さんに喜んで頂ける食事を提供していきたい。
(ア)お花見弁当 | (イ)晩酌(月1回) | (ウ)誕生会メニュー(月1回) |
(エ)プチバースデー | (オ)七夕まつり | (カ)遠足弁当 |
(キ)栄養相談 | (ク)喫茶(年9回) | (ケ)秋祭りバザー |
(コ)餅つき | (サ)おせち料理 | (シ)節 分 |
(ス)とんど祭り |
※令和5年度はこれらの行事食を予定していたが、新型コロナウイルス感染症予防対策として、様々な行事食が中止、内容が変更となった。中止、または変更になった行事食は下記の通り。
・遠足弁当→ドライブに変更
・秋祭りバザー→喫茶形式に変更(飲み物・ケーキ)
・3月晩酌→中止
・3月ひな祭り喫茶→中止
グループホーム 定員 18名
令和5年度は、おだやかで安心のある日々を過ごして頂けるように努めて来ましたが、日々の流れに慣れ、この方は大丈夫だろうと過信し見守りが出来ていなかった事で転倒される事故や、ご利用者の立場になって考えれない事もありました。このようなケースは日々のスタッフ同士の声掛けや、毎月のケース会議で議題にあげ、スタッフの共通した問題である事を認識し解決してきました。令和5年5月から、新型コロナウイルス感染症が5類に移行され、外出行事や小学校児童との交流会を再開する事が出来ました。ドライブでは、「こんな綺麗な所があるんじゃね、来て良かった」と言われる事も。ここ数年見ることが出来なかった晴れやかな笑顔を見る事が出来、私たちスタッフは改めて、この笑顔の為に毎日支援を行っているのだと実感する事が出来ました。職員においては、毎日の申し送りや、毎月のケース会議で情報を共有し個々の支援は出来ていたが、情報の伝達等に漏れもあり。ご利用者の方に迷惑をかける事もあった。ご家族においては、絵手紙やお便り、緊急時の電話連絡等で状況報告を通して信頼関係を維持する事が出来た。今年度も、ご利用者の方が今以上に安心して、日々の生活が楽しく送れる様に努めて行く。
退所者 3名(看取り2名)退所者のうち看取り66%
年 齢 状 況(資料1参照) 最低年齢の方 79歳 最高齢の方 99歳
要介護度状況(資料3参照) 男性 2.6 女性 3.2 平均 2.9
3) 在宅サービス
ショートステイ 定員 44名
御利用者に安心し、ショートステイを利用して頂けるよう各種関係サービス事業所と連携をとりながらサービス提供を行うことができた。また、御家族とも連絡をとりながら、信頼関係が築けるよう努めた。しかし、2月下旬の新型コロナウイルス感染症の拡大や利用中の事故などで、御心配をおかけすることもあった。今後も、感染予防・事故防止に努めていく。
年間利用者(延べ数) | 本年度 | 前年度 | ||
利用者数 | 587名 | 589名 | ||
日 数 | 12,954日 | 13,857日 |
デイサービス 利用定員 20名/日
「ゆっくり・優しく・確実に」ケアを行っていく事を目標にしてきたが、利用者本位ではなく職員本位になってしまう事があり、十分に目標を達成することが出来なかった。しかし、家族と密に連絡を取ることが増えており、利用者の自宅での様子や家族の思いを知ることで、利用者・家族に寄り添うことが出来てきている。また、関係機関との「報告・連絡・相談」を密に取ることで、異常の早期発見・対応につなげる事も出来た。今後さらに寄り添うケアを実践するために、職員が統一感を持ち日々の業務にあたっていきたい。今年度も新型コロナウイルス感染症の罹患者がいたが、事業所を閉鎖することなく終息を迎える事が出来た。新型コロナウイルス感染症が5類へ移行され、コロナ禍以前の生活が戻りつつあるが、感染予防の意識をしっかりと持ち安心して利用して頂けるように努めていきたい。
年間利用者(延べ数) | 本年度 | 前年度 | ||
総合事業利用者 | 252名 | 381名 | ||
介護給付利用者 | 3,191名 | 3,146名 |
ホームヘルパー
新型コロナウイルス感染された、利用者5名・同居されているご家族さんも感染された方がおられました。在宅で過ごされるも、今まで出来ていた事が出来なくなられる方もおられ、支援時コミュニケーションを図り様子観察を行い、関係機関へ報告を行い連携をとる事が出来た。ご家族から今後一人自宅で暮らす事が心配に思われ、相談される事などがあり、状態報告を行う事が出来た。また、職員間でもこまやかな報告を継続していく。職員について、訪問移動時に事故を起してしまい安全運転に努めていく。シフトを調整して対応しましたが、利用者にご迷惑をおかけする事がありました。利用者・ご家族に安心して利用して頂けるサービス提供に努めていきたい。
年間利用者(延べ数) | 本年度 | 前年度 | ||
障害者 | 153回 | 151回 | ||
総合事業 | 333回 | 00回 | ||
介護保険 | 2,8844回 | 2,814回 |
訪問入浴サービス
新型コロナウイルスが 5類に移行したが引き続き感染予防をしていく中で利用者や職員の家族が感染することで訪問に影響があり、他部署から訪問に出て頂いたり、場合によっては訪問を中止することもあった。職員においては、体調不良で退職された方もいたが、他の職員がフォローして訪問に回り、その後新しい職員が入り、現在は仕事にも慣れて訪問することができている。利用者においては重度の方が中心だが、関係機関とも連携を取って、快適に在宅生活が送れるようにサービスを行った。骨折により一時的に利用する方もいるが痛みで動く事が難しかったが、安楽に入浴することができたと喜ばれ、他でリハビリも行うことで元の生活に戻っておられる。搬入、設置の時に、確認や注意不足で、床を水浸しにしたり、ふすまを破いてしまうことがあったので、確実に作業を行うことで、より安心してサービスを受けて頂くようにする。
年間利用者(延べ数) | 本年度 | 前年度 | ||
障害者 | 149回 | 102回 | ||
介護保険 | 669回 | 885回 |
居宅介護支援事業所
今年度も介護者教室を年4回開催し、延べ84名と昨年を大幅に上回る多数の方に参加していただき、介護の知識・技術習得につなげることができました。さらに、出前講座や認知症サポーター養成講座・地域サロンなど、地域へ出向く機会も増え、地域との繋がりや、地域の福祉力向上の一翼を担ったと思う、介護支援専門員個々においても、積極的に研修や会議へ参加すると共に、資質向上に努めました。次年度は介護報酬改定もあり、利用者が安心してサービスを利用できるよう、早期に情報収集を行うなど、業務に取り組んでいます。最近では、相談内容の複雑化や医療依存が高い人が増え、他法関係者や医療機関との連携が特に重要となっており、また、介護認定が軽度の利用者が施設入所を希望するケースも増えており、ご自宅で生活するための在宅サービスを提案・調整するとともに、その方の状況に応じた民間施設・公共施設の情報提供などを行い。利用者本人が住み慣れた地域で生活できるよう、より一層支援を行っていきます。
年間利用者(延べ数) | 本年度 | 前年度 | ||
介護予防 | 111件 | 141件 | ||
介護保険 | 884件 | 906件 |
訪問看護ステーション
令和5年度新型コロナウイルス感染症は5類となったが、自宅において新型コロナウイルスに感染された利用者がおられた。感染拡大を避けるため、ガウンテクニック他、細心の注意を払い、他の利用者の感染は防ぐことが出来た。夜間休日の呼び出しが164件あり。その都度状況を観察し緊急性がある場合は受診するなど行った。転倒し骨折する利用者さんもおられた。一人暮らしの利用者さんにデイサービスの職員が迎へに行くと返答なし、すぐ訪問すると自宅で倒れ亡くなっておられた。予期出来ない事態であったが連携を密にとっていたことで早期に発見できたと考える。自宅で看取りを希望されていた家族も気持ちの変化があり入院を選択されることもあった。家族、本人の意見を尊重しながらその時々で寄り添い看護した。又、研修会に参加し自己研鑽に努めた。今後も希望があれば身近な医療の相談窓口としてご家族に寄り添っていきたい。
年間訪問(延べ数) | 本年度 | 前年度 | ||
医療保険 |
2,369回 | 2,346回 | ||
介護保険 | 1,634回 |
1,949回 | ||
介護予防 | 63回 | 99回 |
4)そ の 他
1.広報誌の発行
8月と2月の年2回「しらゆり」を発行し、各関係機関・団体・地域住民及び入苑者とその家族等にも配布し、入苑者の生活状況、施設の活動状況を周知した。又、ホームページを活用し、法人の様々な情報を開示することを心掛けた。
2.1日苑長の委託
新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、行なわず。
3.安全管理について
入苑者の安全管理のため職員の非常召集表の整備、夜間の防災体制の確立、避難・消火訓練(年2回)などを実施し、防災対策を図った。更に月1回の安全点検日を設け、施設内の器具・設備・補修・危険物等の安全管理を実施した。
避難訓練・消火訓練(年2回 ※内1回は消防署立会)
通報訓練(年1回)
消防設備点検(年2回)
消防設備等自主点検(毎月)
4.実習生・ボランティアの育成及び活動について
介護福祉士養成実習や管理栄養士臨地校外実習の受け入れ等を行った。年間の実習生受け入れ人数は15名となっている。ボランティアについては、新型コロナウィルスの感染状況に応じて可能な限り受け入れを行った。年間のボランティア受け入れ人数は64名となっている。
【実習について】
広島福祉専門学校(2名) 黒瀬高校福祉科(7名) 広島国際大学(5名) 介護労働安定センター(1名)
5.地域交流について
当苑が地域における福祉の拠点としての役割を果たすためには、地域住民の理解及び協力を進めることが大変重要な課題であるため、地域の感染状況に合わせながら、また、感染予防に努めながら地域サロンや地域行事、地域の教育機関等に対し職員の派遣を行った。
6.職員研修について
老人福祉施設職員としての専門性を高めると共に、その資質の向上を図るために以下のとおりに研修会や会議に参加し、合わせて参加者全員に復命書の提出はもとより、伝達研修を行い全員に周知を図った。
① 施設内研修・会議
(1)ケース会議 (月5回)
(2)各委員会 (毎月1回)
月間行事、入浴・排泄、リハビリ、クラブ・グループワーク、食生活
誕生会、保健衛生・感染症、身体拘束廃止・事故再発防止、しらゆり発行
喫茶、職員安全衛生管理、褥瘡予防・処遇改善
(3)主任者会議 (毎月1回)
(4)伝達研修 (毎月1回)
② 施設外研修
(1)直接処遇職員 | 延べ 36名 | (2)看護担当者研修 | 延べ 2名 |
(3)事務担当者研修 | 延べ 5名 | (4)東広島ブロック研修 | 延べ 2名 |
(5)居宅介護支援研修 | 延べ 20名 |
7.職員の異動について(法人全体)
介護職 | 看護職 | 栄養士 | 調理員 | |
採 用 | 5 | 4 | 1 | 0 |
退 職 | 3 | 3 | 3 | 1 |
本年度の退職者は、家庭の事情、一身上の都合により10名の退職があったが、業務に支障のないように、それぞれに後任者を充てている。